罹りやすくなる病気と罹りにくくなる病気
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ピル服用による疾病リスクの増減はなぜおきるのか?/
ピル服用により発生リスクの増加する癌/
ピル服用により発生リスクの増加する腫瘍/
ピル服用により発生リスクの増加する循環器疾患/
ピル服用による他の疾病への影響/

ピル服用により発生リスクの減少する癌/
ピル服用により発生リスクの減少する腫瘍/
ピル服用により発生リスクの減少する疾病/
生理を軽くする効果について(別ページ)/
 

静脈血栓塞栓症とは/
静脈血栓塞栓症の危険因子/
静脈血栓塞栓症の初期症状に注意!/
静脈血栓塞栓症の診断・治療・予防/

ピル服用中止後の性周期の回復と出産への影響 /
年齢と疾病リスクの関係/
性感染症の予防について/

ホルモン環境の変化による副作用・副効果(別ページ)/

ピル服用による疾病リスクの増減はなぜおきるのか?

 ピルを飲んでいない女性のホルモン環境は、時々刻々非常に大きく変動しています。いわば、急流の中にいるといえます。それに対して、妊娠中やピル服用中のホルモン環境の変化は、非常に小さなものになります。いわば、淀みの中にいるといえます。
 ピルによって作り出される静止的なホルモン環境により、一定の疾病に対してリスクが高くなります。一方、一定の疾病に対してはリスクが低くなります。
 これをサイコロゲームにたとえてみましょう。AさんとBさんが、サイコロの出目を当てるゲームをしました。36回の勝負です。Aさんは1回目は1、2回目は2、7回目は1というように、毎回予想の数字を変えました。Aさんの結果は、1から6までの数字を各1回ずつ計6回当てることができました。一方、Bさんは36回の全てに1という数字を予想しました。Bさんは、計6回当てることができました。1という数字についてみれば、BさんはAさんの6倍当てたことになります。しかし、実際に当てた合計数は、AさんもBさんも同じ6回です。
 これと似たようなことがピルの服用にもいえます。つまり、いつも1という数字を予想すれば、予想した1が当たることは当然多くなります。ピルを服用すれば、ある種の疾患にかかるリスクは当然高くなるのです。しかし、他の疾患にかかるリスクは低くなります。
 サイコロゲームでは、1が出ることを防ぐことはできません。しかし、疾病は違います。健康管理に気をつければ、1が出ることを防ぐことがある程度できます。
 低用量ピルは、世界中で1億人の女性が長い間服用している薬です。これほど多く飲まれている薬は他にありません。低用量ピル服用による疾病リスクについて、日本では調査が行われていません。ピルが普及している海外では、さまざまな調査が行われてきました。どんな風邪薬よりも、どんな痛み止めよりも、比べものにならないくらい大量にかつ長期間にわたって飲まれている薬です。また、ピルほど疑いと偏見の目で見られてきた薬はありません。そのため、ピルの安全性についての調査・研究には、他の薬と比べて格段に多い蓄積があります。ピルほど安全性が立証されている薬はないともいえるわけです。 
 しかし、それらの調査の多くは、低用量ピルと中高用量ピルの区別を行っていません。低用量ピルの種類別の調査も、一部を除き十分に行われていません。今後、さらに詳細な調査が行われると、低用量ピル服用による疾病リスクの数値のうち、あるものについては現在知られているよりも、下がる可能性があると思われます。現在知られていない疾病リスクが明らかになる可能性も、非常に少ない確率ではありますがないとはいえません。 
 低用量経口避妊薬(ピル)の承認に関する中央薬事審議会のとりまとめ資料をもとに疾病リスクをまとめてみました。

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■ピル服用により発生リスクの増加する癌
 
子宮頸癌

 日本のピル認可資料を検討した調査会は、リスクは1.3〜2.1倍と見積もっています(文献評価)。

乳癌
 
 現在ピルを服用している女性はピルを服用したことがない女性と比較するとリスクは1.24倍であり、また、ピル服用を中止してからのリスクは、中止後1〜4年で1.16倍、中止後5〜9年で1.07倍、中止後10年以降では1.01倍に減少すると報告されています。ピルの服用により乳ガンの発生リスクが高まることは、明らかな事実のようです。

【その他の癌】

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■ピル服用により発生リスクの増加する腫瘍
子宮筋腫

 子宮筋腫は、エストロゲンが関与しているとの報告があります。 
なお、子宮筋腫が禁忌とされているたことについては、こちらを参照してください。

肝良性腫瘍

 1年以下の服用者を1とすると、1〜3年で1.3倍、3〜5年で2.5倍になるとの報告があります。

悪性肝腫瘍

 7年までのピルの服用ではリスクの上昇は認められなかいが、8年以上の服用者では悪性肝腫瘍の発生率が増加するとの報告があります。一方で、ピルの服用期間と悪性肝腫瘍の発生に因果関係は認められないとする報告もあります。

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■ピル服用により発生リスクの増加する循環器疾患
【脳卒中】

 ピルを服用している女性はピルを服用していない女性と比較すると虚血性脳卒中のリスクは欧州では2.99倍、発展途上国では2.93倍とする報告があります。また、出血性脳卒中のリスクは欧州1.38倍、発展途上国1.76倍という報告もあります。さらに、虚血性と出血性を合わせた調査において、虚血性1.18倍、出血性1.14倍という報告があります。また、虚血性脳卒中のリスクは2.9倍であるとの報告もあります。

心筋梗塞

 ピルを服用している女性はピルを服用していない女性と比較すると心筋梗塞のリスクは欧州で5.01倍、発展途上国では4.78倍との報告があります。また、2.26倍とする報告もあります。

喫煙と循環器系疾患

 ピル服用者のうち34歳以下の女性では、心筋梗塞等の循環器系疾患による死亡率は10万人当たり15人以下であるが、35歳以上の女性、特に喫煙者(1日15本)では10万人当たり63人以上と急激に上昇するとの報告があります。 
 心筋梗塞については、30歳〜39歳において14本以下の喫煙者のリスクは10万人当たり6人であるが、15本以上の喫煙者では30人と上昇するとの報告があります。

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■ピル服用による他の疾病への影響
ピルを服用することによって悪影響がでると考えられる疾病には以下のようなものがあります。 
耳硬化症 
持続性そう痒症、妊娠ヘルペスの既往歴 
高血圧 
ポルフィリン症 
肝障害 
心疾患、腎疾患又はその既往歴 
てんかん 
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ピル服用により発生リスクの減少する癌
 

卵巣癌

 ピルを服用している女性は、服用したことがない女性と比較すると、ピル服用3〜6カ月で卵巣癌の発生が40パーセント減少します。さらに5年以上服用するとリスクは60パーセント、10年以上服用で80パーセント減少します。服用期間に比例して、より大きな予防効果が認められると報告されています。 
 ピル服用による卵巣癌の予防効果は、ピル服用の中止後少なくとも15年間は持続すると報告されています。 
 卵巣癌患者の10%が遺伝子の変異を有しており、遺伝子の変異を有する女性の25〜45%が生涯に卵巣癌を発症するとの報告があります。遺伝子変異を有する女性とその姉妹の対照との比較においてもピル服用者は卵巣癌のリスクを低下させるとの報告もあります。このことから、遺伝子変異を有する女性あるいはその可能性の高い女性にとって、ピル服用は卵巣癌のリスクを低下させる効果が期待できます。 
 卵巣癌の原因として排卵との関連性が示唆されています。排卵のつど卵巣上皮は破裂、修復を繰り返していますが、その過程から細胞異常が起こり、異常増殖、腫瘍化の可能性が考えられています。ピル服用は、排卵回数を減らすので、これらの破裂・修復過程が減少し、その結果として癌化が減少すると考えられています。

子宮体癌
 発生率は50%になります。

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ピル服用により発生リスクの減少する腫瘍

良性乳房疾患の発生の減少効果

 英国のOxford Family Planning Association Contraceptive Study(1968-1979)で行われた疫学調査では、良性乳房疾患の発症がピル服用群で減少すると報告されています。この予防効果は、服用期間に比例して高く、エストロゲン含有量が一定の場合、プロゲストーゲンの含有量が多いほど高いと報告されています。

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ピル服用により発生リスクの減少する疾病
 
卵巣貯留嚢胞の減少

 卵巣貯留嚢胞の減少や子宮外妊娠の減少が期待できます。 
米国ではピルの服用により年間3,500人の卵巣貯留嚢胞の入院を防止できると推定されています。 
また、これらの効果はピルの用量によって異なるとの報告があります。 
ピルの排卵抑制作用に基づき、他の避妊法を使用した際に発症する子宮外妊娠の減少も報告されています。

骨盤内感染症の発生の予防効果

 各種避妊法における骨盤内感染症(PID)発症頻度は、ピルを服用している女性で最も低く、IUDの使用者に比べ1/5であったとの報告があります。PID(骨盤内感染症)発症の相対リスクは、ピルを現在服用している女性で有意に低いことが報告されています。また、1年以上のピル服用者ではその発症を70%減少させたと報告されています。この予防効果は、プロゲストーゲンが頸管粘液の粘度を高め、腟内細菌の子内への移送を阻止するためと考えられています。

【その他】

 ピルの服用によりさまざまな疾患の罹患率・死亡率・手術の必要度が減少すると報告されています。たとえば、子宮外妊娠の発生率は10%、卵巣癌の発生率は30%、機能性卵巣嚢腫の発生率は40%、子宮内膜癌・骨盤内炎症性疾患や良性乳房疾患の発生率は50%になります。

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静脈血栓塞栓症とは
詳しくはしばらくお待ち下さい。とりあえず、こちら(メルクマニュアル)で「深部静脈血栓症」を検索して下さい。

 ピルを服用している女性はピルを服用していない女性と比較すると静脈血栓塞栓症のリスクは欧州で3.53倍、発展途上国では3.25倍との報告があります。また、4.0倍と報告とする報告もあります。ピルの最大の副作用は血栓症リスクの増大といえます。 
なお、静脈血栓塞栓症の発症者は1万人につき、ピル非服用者で0.3〜0.6人、ピル服用者で0.9〜1.8人程度です。

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静脈血栓塞栓症の危険因子
血栓症のリスクを高める要因 
血栓症のリスク増大はピルの最大の副作用です。ピル服用が以下の要因を持っていると、血栓症のリスクが高まると考えられます。
・第V因子突然変異の保有 
・悪性腫瘍 
・高脂血症 
・高血圧 
・感染症 
・抗リン脂質抗体症候群 
・妊娠中の高血圧の既往 
・大手術の術前4週以内,術後2週以内 
・産後4週以内 
・長期間安静状態 
・肥満 
・脂質代謝異常 
・血栓症の家族歴 

 そこで添付文書には、「血栓症(四肢、肺、心筋、脳、網膜等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、下肢の疼痛・浮腫、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、急性視力障害等の初期症状があらわれた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。」と注意を喚起しています。

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静脈血栓塞栓症の初期症状に注意!
(1)血栓症の初期症状 
下肢の疼痛・浮腫、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、急性視力障害等 
(2)血栓症のリスクが高まる状態 
体を動かせない状態、顕著な血圧上昇がみられた場合等

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静脈血栓塞栓症の診断・治療・予防
詳しくはしばらくお待ち下さい。とりあえず、こちら(メルクマニュアル)で「深部静脈血栓症」を検索して下さい。

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ピル服用中止後の性周期の回復と出産への影響 
 

【性周期の回復(次の生理はいつ来るか)】 

 国内で実施された試験では、ピルの服用中止後60日以内に73.7%の人に月経の再来又は排卵が認められました。90日以内では、92.4%の人に月経の再来又は排卵が認められました。製剤により性周期の回復には、多少のばらつきがあるようですが、ほぼ3ヶ月以内には多くの人で生理が始まると見てよいでしょう。
ピル服用前の周期が規則正しかった人では、性周期の回復は早くなる傾向があります。40歳以下の月経周期が少なくとも3ヵ月規則的な女性についてみると、30日までに98.8%、60日までに99.9%、90日までには100%の人に月経の再来又は排卵が認められました。

【服用中止後の妊娠率】 

 ピル非服用者に対しピル服用者の排卵性不妊症のリスクは1.3倍程度あるという報告があります(不妊症リスクが1.3倍になるという意味ではない)。
しかし、ピルが無排卵の治療に広く使われていることを考慮する必要があります。一般的には、ピル服用による妊娠機能への影響はほとんどないものと考えられています。
ピルの服用を中止した後の一定期間(たとえば3ヶ月)に妊娠する確率は高くなるのか、低くなるのかといえば、低くなります。それは性周期の回復が遅れる方がいるためです。しかし、早かれ遅かれ性周期は回復します。性周期が回復すると、非常に妊娠しやすい状態になります。このことを不妊治療に応用することもあるほどです。

【先天異常児出産】 

 ピルを妊娠前に服用していた女性において異常出産の危険性が増大するということはないとされています。

また、ピルには催奇形性作用のないこともほぼ立証されています。特に妊娠初期に不注意に服用してしまった場合でも、心臓奇形や四肢の異常のないことが報告されています。
妊娠中の投薬とそのリスク も参照(rurikoって誰?)
ただ、一つだけ気をつけるべきことは、葉酸の不足です。葉酸の不足は神経管閉鎖障害のリスクを高めます。ピルユーザーや妊婦は葉酸の必要量が多くなり、葉酸が不足しがちになります。葉酸を積極的に摂取するよう心がけましょう。
ピルユーザーに人気のサプリ、ナトフェミンには葉酸が処方されています。

【流産,子宮内胎児死亡】 

 ピルを服用していた女性の服用終了後の流産については、同じかあるいは少ないとされています。 
妊娠中の胎児の死亡(死産)についてもむしろ少ないとされています。

【次世代への影響】 

 催奇形性、染色体異常、次世代の癌、性的発達・行動の異常の各項目について、悪影響があるとの有力な報告はなされていません。

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年齢と副作用の関係
【思春期前の女性】

エストロゲンは骨端線を閉鎖させ、骨の発育を停止させることが知られています。したがって、思春期前の女性はピルを服用してはいけません。

【乳癌】

ピル服用開始年齢別の乳癌発現リスクは、20歳未満で1.22倍、20〜24歳で1.04倍、25〜29歳で1.06倍、30〜34歳で1.06倍、35歳以上1.11倍であったが、傾向検定で有意差は認められなかったとされています。

【子宮頸癌】

ピル服用年齢による子宮頸癌のリスク上昇については、異なった見解があります。ひとつは、20歳未満で3.3倍と高くなるとするものです。これに対して、25歳以上と較べて、16歳以下は1.1倍、17〜20歳は1.0倍、21〜24歳は1.0倍であり、差は認められないとする説もあります

【35歳以上の喫煙者と循環器系疾患】

ピル服用者のうち34歳以下の女性では、心筋梗塞等の循環器系疾患による死亡率は10万人当たり15人以下であるが、35歳以上の女性、特に喫煙者(1日15本)では10万人当たり63人以上と急激に上昇するとの報告があります。
心筋梗塞については、30歳〜39歳において14本以下の喫煙者のリスクは10万人当たり6人であるが、15本以上の喫煙者では30人と上昇するとの報告があります。

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性感染症の予防について
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